人間は抑えがたい「思考への欲求」に追われています

マインドはひっきりなしに考えています。
やっつけなければならない考え事に追われ、
起きている一日中、頭の中のおしゃべりは続きます。

そしておしゃべりのテーマに必然性はなく、
しばらく経てば思い出せない内容がほとんどです。

人間は抑えがたい「思考への欲求」に追われています。
人との会話が途切れた沈黙に耐えかねるように、
脳内のおしゃべりの空白にも我慢ができません。
そこであれこれと脳内でしゃべりはじめます。

そしてしゃべっている間、「自己想起」に必要な注意力は
思考に注がれてしまいます。
「自己」を思い出す隙さえ与えられません。

ですからまずは、自分が頭の中でどうでもいいおしゃべりを
続けていることに気づくのが第一歩です。

次に今度はおしゃべりに「気づいた者」に注意を向けます。
おしゃべりを認識した「認識者」自身に気づきます。
そしてこの気づきをキープします。

気づきを失ったら何度でも引き戻します。
これは困難な技に挑戦するアスリートの訓練と何ら変わりありません。
「自己想起」は内的なトレーニングです。

しかしアスリートには休憩時間がありますが、
「自己想起」をめざす者に休んでいい時間はありません。
「自己想起」に挑み続けるのはどんな作業よりも困難で、
一日の終わりには疲れ切ってしまいます。

それでも、最初は一日にほんの数秒でさえ、
気づきを絞り出すことは困難です。
いえ、不可能と言っても過言ではありません。

そういう途方もない作業に臨んでいるのだと覚悟するのは大事です。
また、まったく「自己想起」できないからと言って、
自分を責めたり落ち込む必要はありません。

私たちは基本的に「不可能」に挑戦し、
道をこじ開けようとしているのです。

しかし、100%不可能ではないのが、この作業のポイントです。
宇宙はあえて限りなくゼロに近い可能性を残しました。
そこを突破する勇者を待っているのかもしれません。