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脳内のおしゃべりを独り言で実況する男性

ある日のこと
バスでうしろの座席に座った男性が独り言を始めました
男性の声は大きく、あたかも自身の想念を実況するかのように独り言は続きました

その内容は愚痴を中心とした脈絡のないもので
男性は誰かに話しかけるように喋り続けていました

脈絡はないとは言え、発した言葉からの連想があり
その意味では移り行くテーマに関連性がありました

例えば話の流れで「川が流れてた」と言葉を発すると
「あ～川の流れのように～」と歌い出すといったように

しかし、男性の独り言は私たちの脳内で同じように展開していると思いました
ただそれを口にしないだけで

連綿と続く頭のおしゃべりこそが精神的な眠りの症状で
正常な人間の在り方からみれば以上な状態です
まるで壊れたテープレコーダーのようです

しかしこれが私たちの通常の状態です
そして私たちは自分が脳内で絶え間なくしゃべり続けていることにも気づいていません
それが当たり前になっていて、特に異常さを感じません
しかしこれは明らかにバグです

男性の様子を見て、私はすぐに意識を頭の中心に戻しました
「私は在る」に還りました
中心の自己に戻ると思考はやみました
そして何かが分泌されたかのような心地よさが広がりました


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