私は実に長い間、自己想起について思い違いをしていました。
自己想起の「自己」とは、自分の肉体の所作や感触、また呼吸や脳裏を駆け巡る想念のことだと思い込んでいました。
例えば歯磨きの最中に、「自分が歯を磨いていることを意識する」のが自己への気づき、すなわち「自己想起」だと思っていました。
あるいは散歩の最中に、自分が歩いていることを意識する、テレビを観ている最中に、自分がテレビを観ていることを意識する…すべて同じですが、それらが自己想起だと思っていたのです。
そしてこの状態は20年近く続きました。
しかし、それは自己想起ではないと気づかせてくれたのがアジズです。アジズは目を閉じた時に見える暗闇を見ている者に気づけと言いました。
また、やまがみてるお氏は、思考に気づいたら、次に「気づいた者」に意識を向けよと言っています。
この2人の言葉を通じて、自分が今までやって来たことはまだ足りなかったとようやくわかりました。気づいている者(自己)への気づき、それこそが自己想起だったのです。