自己想起を妨げるもの
1. 目に映る魅惑的な外部世界
人間の意識のベクトルは常に外部に向いています。
目に映る魅惑的な対象物に心を奪われ
その間、自己への気づきは失われ続けます。
恋に夢中になればその間自己を忘れ
映画に見入ればその間自己は失われ
人と会話すればその間自己に対する気づきは失われ...。
こうして人生の大半は、自己自身に対して意識のベクトルが向かないまま
ひたすら魅力的な外部世界に主導権を奪われたまま過ぎ行くのです。
2. 脳内に展開する絶え間ない思考
人間は一日中考え続けています。
ひとつの議題から次の議題へ。
この問題さえ片付けば何とかなると、それについて考え続けています。
やっつけなければならない考え事が多すぎます。
思考の連鎖に終わりはありません。
想念の空白を忌み嫌うかのように、頭は執拗に考え続けます。
そしてこれを相手にし、止めようとしても止まりません。
相手にした時点ですでに思考に絡め獲られているのです。
3. 痛み、かゆみ、欲求などの肉体的な感覚
人間はどこかが痛くなればそこに気を取られ
かゆくなればそこに意識が向き
食欲、性欲などが起こればそればかり考え続けます。
肉体に同一化し、それに振り回され続けます。
その間、主体は存在していません。
外部の魅惑的な事柄への執着を断ち切り
絶え間ない頭のおしゃべりから一歩引き
いちいち肉体の反応に同一化しないよう
心がけなければなりません。
決意、意志、実行
この3つが自己想起には必要です。
すべてを振り払い、ひたすら目の内側
思考の内側、呼吸の内側
脳の芯へ意識のベクトルを向け返さなければなりません。
中心を保つのです。