通常、私たちは自己が操縦する肉体の動作に気づいていません
呼吸、想念、また接地した感触などを意識することはありません
ほとんどすべての行為が無意識に自動的に行われています
そこで、こうした肉体の動作に気づき、意識を向けるのがマインドフルネスです
思考に気づき、呼吸に戻ることで無意識状態から脱却します
また、思考に気づくには、ベースとなる一定量の自己想起が必要です
自己想起により生じた「気づいているスペース」から思考を見つめます
さらに積極的な態度で「気づいている自己自身」に気づくのが自己想起です
思考に気づくときには、気づいている誰かがいます
呼吸に戻るには、戻ろうとする誰かが存在しています
その存在とは、今、この文字を見ているあなた自身です
眼球というレンズを通し、目の内側から見ている者自身があなたの正体です
人は自己が操縦する肉体と同一化し、それを取り巻くできごとに埋没しています
映画館でそれが映画であることを忘れ、
口を開けてスクリーンを見入っているようなものです
時々気づいて我に返るものの、すぐにまたスクリーン上の物語に埋没します
自己は車ではなく運転手だと気づくことです
映画は所詮は物語であり、映画館を出れば何の関係もないことを思い出すべきです
脳は内側で一日中しゃべり続けています
自己を忘れた人間は、自分が切れ目なく
頭の中でしゃべり続けていることに気づきません
それがデフォルトになっています
しかしそれは正常ではありません、あきらかなバグです
ラジオが常にノイズを発し続けているようなものです
思考を止めようとして、思考自体を相手にするとそれに絡めとられます
むしろ思考は相手にせずに、思考を見つめる者自身に注意を反転します
思考という客体ではなく、自己という主体に目を向けます
主体に気づき続けます、さらにはその状態を定着させます
自己が自己自身に気づいた状態、これが人間の本来の姿です
現状の人間はほとんどが自己に注意を向けないどころか、
それが存在していることにも気づいていません
自己自身を忘れ果てているのです
そのため心は常に飢え渇き、代用品で満たそうとしても満たされません
一番大事な自己自身が不在だからです
『あなたの行くところ どこにおいても主を認めよ(主体を認識せよ)』