一夜明けて、強烈な眠りの揺り戻しがきた 自己想起がうまくいった場合、翌日はその分、 抗しがたい眠りがやってくるのが通例 今までならそのまま数日、数週間、数ヶ月と眠り続けていた だが今度ばかりは違う このままではいけないと感じた私は、夜にも関わらず 5時間に及ぶ「歩禅」に取り組んだ 「歩禅」とは読んで字のごとし、歩きながら行う禅だ 道をゆっくり歩きながら、目の内側の「主体」に注意を向け続ける 「自己」に対する気づきを保ち続ける 「i」を意識し続ける 長時間の格闘の後、どうにか昨日レベルの気づきを取り戻した しかし取り戻すまでの間、以前のイラつきがぶり返した 対象の相手に心の中で罵詈雑言を尽くした 理屈では私が正しい、しかし現実は正論など蹴散らして進行する この苦境を脱する道はただひとつ、自己を想い起こし、 ぐるぐる回りを繰り返す同じ思考とそれに基づくイラつきを 超然と超えることしかなかった i, i, i,… 私, 私, 私… Me, Me, Me,… 気を失いかけている人を呼び起こすように 私は自身に向かって呼びかけ続けた するとまばらに、ふと「すっ」と安らかな瞬間が訪れた 今までのイラつきから離れた、どうでもよくなった心境が表れた イラつきの最中には「どうして自分はこのような目に合うんだ」 と憤りの思いしかなかったが、安らぎの瞬間には、 「いや、こうした四面楚歌の状況だからこそ、自己想起へ追い立てられるのだ」 「彼らはそのために憎まれ役を演じてくれているのだ」と心から素直に思えた しかし、気を抜けばすぐにまたイラ立ちに戻る 今回はそれでも、安らぎの側へ戻せるインターバルが縮まった また、憤りながらも、どこかで醒めている自分がいる 今は両者の引っ張り合い、綱引きの状態だ 意識を取り戻すと、脳の中でミシミシと音がする また、脳の後ろへ引っ張られる感じがする 視床のあたりが引き延ばされる感覚がある あと、昨日初めて、コンビニのレジで、自己を保ったまま 軽く会話し、お釣りを受け取ることができた
自己想起による覚醒と悟りのメソッド